Google+ FFあんてな: 【連載小説】 泪色ヘヴン 【7】

2015年11月4日水曜日

【連載小説】 泪色ヘヴン 【7】

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第3話の前編です!!



体調不良のセンを心配するミナモ。
彼女が会いに来ようとした時、センは何かを感知します。
それは新たな戦いの幕開け、その予兆でした。

ラズリ小隊のメンバーは、デブリが衝突した場所の調査に派遣されます。
しかしそこで、四人は恐ろしいものに遭遇してしまい……!!

加速していく宇宙戦争。
地球から隔離された宇宙の民は、果たして生き残ることができるのか!



連載再開です。
不定期更新ですがよろしくお願いします。


一更新、原稿用紙20枚ほどなのでお気軽にお楽しみくださいね!




201504200034



フレンドのそらさんから、OPテーマやBGMをご提供いただきました!!
併せてお楽しみください!!

※右クリック→対象をファイルで保存
【OP曲-悲しみのロストヘヴン】 mp3 ダウンロード
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[泪色ヘヴン] [7]

(第3話 ブラービオ 前編)



立ちはだかる影。
複数のそれに道を阻まれ、俺達は足を止めた。
どこに行くつもりだ?
一人が言った。
この腐った世界のどこに逃げるつもりだ?
どこに逃げ延びて、そしてどんな暮らしをするつもりだ。
逃げられると思うのか。
放り出せると思うのか。
カルマを。
私達のカルマを。
背負った業を全てかなぐり捨てることが、許されると思うのですか。
人影達は交互に云う。
そんなことを、私達が許すと思うのですか。
あなた達は、それで許されると思うのですか。
否。
断じてそれは、否である。
あなた達は決して許されはしない。
私達は、それを許容もしたりはしない。
何故ならばシエンタ。
あなたが抱いている「ソレ」は。
ソレは……。



跳ね起きた。
体中から汗を吹き出し、センは荒く息をついた。
真っ暗な部屋の中、ただしばらく自分の荒い息遣いだけが聞こえていた。
手で頭を抑えて息をつく。
不意に、ズキッと側頭部が痛んだ。
手探りで枕元のピルケースを手に取り、中から小さな注射器を取り出す。
そして手荒くキャップを外し、センは見もせずに左腕の静脈に挿しこんだ。
中身の液体を血管内に押し込んで、注射器を放り投げる。
パリン、というそれが割れる音がしてから、静寂がまた部屋の中を包んだ。
センはしばらく針を刺した腕を指で揉んでいたが、やがて自分の頭を抱えるようにうずくまってしまった。
頭痛は消えない。
痛みも消えない。
楽にはならない。
そう、これから先、楽になることなどないのだろう。
カルマ……カルマだ。
背負った業に押し潰されて、燃えて消えるまで。
俺達は、この苦しみを背負わなければいけないんだ。

◆ 

どれくらいの時間、そうしていただろうか。
センは耳の端で、ピピピ……という通信端末の着信音を聞いて、枕元に放り出してあった腕時計を手に取った。
そしてボタンを押して、ライトを自分の顔に向ける。
空中に、軽いノイズ音と共にミナモの顔が浮かび上がった。
 
『おはよう! 一緒に朝ごはんでもどう?』
 
気さくに話しかけた後、ミナモは一瞬沈黙し、そして声音を落として続けた。
 
『……もう十時回ってるよ? どうしたの? 死にそうな顔』
「何でもない。今日も体の調子がすぐれないんだ。悪いな。皆にもそう言っておいてくれ」
 
センはそう言って、腕時計を枕元に置いた。
センの顔が消えて、慌てたようなミナモの声がする。
 
『何か食べたほうがいいよ……もう三日も部屋から出てきてないじゃない。私今からそっちに行くから、部屋の鍵開けて? ね?』
「…………」
『司令も心配してるんだよ。私に休みをくれたの。センのところに行って来いって。だから、何かお腹に入れたほうがいいと思うな』
 
一生懸命説得してくるミナモを横目で見てから、センは髪をかきあげて息をついた。
 
「……分かった。何時にここにつく?」
 
彼からの返答を聞いて、ミナモは表情を明るくして答えた。
 
『一時間くらいすれば行けるから。寝ないで待っててね。今行くから!』
「ああ……待ってるよ」
 
センは抑揚のあまり感じられない声で答えると、手を伸ばして腕時計のスイッチをスライドさせた。
ミナモの顔が消えて、部屋の中を静寂が包む。
センはよろめきながら立ち上がろうとして……。
そこで、突然頭を抑えて膝をついた。
猛烈な頭痛と吐き気。
頭の内側と胸の内側をハンマーで叩かれたかのような衝撃が、体を襲ったのだ。
その痛みは一瞬で消えたが、センは四つん這いの姿勢のまま、荒く息をついて目を見開いた。
 
(この……感覚はやはり……)
 
音が出るほど歯を噛み締め、彼は立ち上がった。
そしてジャケットを羽織り、腕時計をはめる。
 
(奴が来ているのか……? ミナモを来させるのは軽率だ……!)
 
舌打ちをして、センは腕時計のスイッチを押した。
しかしミナモの通信が繋がらない。
サブウェイに入ったのか、通信圏外になってしまったようだ。
 
「緊急転送を開始。指定した座標軸に俺を飛ばせ」
『了解しました。緊急シークエンスを起動します』
 
AIの声が響き、センの体が淡く光る。
そして、一瞬後彼は掻き消えるようにその場から消失した。

◆ 

「司令、これが先日ステーションの外壁に衝突したデブリの事案報告です」
 
ナビゲーターから電子ボードの資料を受け取り、アンジェロはそれに目を通しがてら、片手のコーヒーをすすった。
 
「軍部エリアが損傷。ダストシュートの集積所にぶつかってるんだな」
「はい。衝突の衝撃で滅茶苦茶になってしまっていまして、現在復旧の調整中です」
「ぶつかったデブリの回収作業は進んでいるのか?」
 
コーヒーカップをテーブルに置いてから、アンジェロは計器類を操作し始めた。
 
「何せ、状況が状況なので選別するのは非常に困難かと……分析班を当たらせていますが」
 
ナビゲーターの女性がそう言うと、彼は息をついてボタンを押した。
 
「こっちに、その集積所の、デブリ衝突時の周辺ビーコン映像を何機か回せ。一応確認しておく」
「了解しました」
 
頭を下げたナビゲーターに、アンジェロは続けた。
 
「ああそれと……」
「はい?」
「ハンウチ特佐に、この件は報告しなくていい」
「はあ……どうしてでしょうか?」
「余計な処理をさせるな。ただでさえあいつは、出撃後は異様に消耗するんだ。負担はできるだけ減らしてやったほうがいい」
 
ナビゲーターがクスリと笑って頷く。
 
「司令はお優しいんですね」
 
アンジェロはそれを聞いて肩をすくめ、コーヒーカップをまた持ち上げた。
 
「馬鹿を言うな。ただ、付き合いが長いだけだよ」

◆ 

宇宙服を着たクリステン、ジャスティン、ミィ、アマナの四人が、複数の分析班の大人達に囲まれながら、ゆっくりと宇宙空間を浮遊していた。
全員命綱を背中につけていて、バックパックから圧縮空気を噴出しながら進んでいる。
ミィが手元の通信機のボタンを押し、不満気に口を開いた。
 
「……何で私達が、ゴミ捨て場の調査をしないといけないのか、理解が追いつかない」
「まあそう言うな。万が一もある。能力がある俺達が護衛についていた方が、調査も安全だっていう司令の配慮だろう」
 
クリステンがなだめるように言うと、ジャスティンがため息を付いて、うんざりしたような声を発した。
 
「俺は非番だったんだけどね……無理やり叩き起こされた」
「ご愁傷様」
 
ミィが表情を変えずに呟く。
 
「……はぁ。なあ、ミナモはどうしたんだ?」
 
ジャスティンが問いかけると、クリステンがそれに応える。
 
「あいつは、司令の命令で特佐のとこに行ったよ」
「はぁ? 何で!」
 
ジャスティンが大声を上げる。
ミィが顔をしかめて呟いた。
 
「……大声出さないで。スピーカーが割れる」
「だってさ! 何だよそれ!」
「落ち着きなさいよ……みっともない」
 
ミィに軽蔑の目を向けられて、ジャスティンは言葉を飲み込んで、彼女から視線を逸らした。
そしてふらふらと頼りなく進んでいるアマナの方に視線をやり、宇宙服を慣れた様子で操作して近づいた。
 
「大丈夫? 宇宙航行はもしかしてはじめて?」
 
問いかけられて、アマナは汗だくになりながら頷いた。
 
「え……ええ。中々慣れてなくて……」
「まー時間はたっぷりあるし、ゆっくり慣れればいいよ」
「ありがとう」
 
差し出されたジャスティンの手を握って、アマナは息をついた。
 
「それにしても、すごいな。初回の操作でシンケルハンの5号機を起動させて、更にエンジェルに攻撃するなんてさ。考えられないよ。ほんとに初めて?」
 
問いかけられる。
アマナの脳裏に、あの時に人が変わったようにシンケルハンを操縦できたことがフラッシュバックする。
一瞬だけ、頭の中にあの機械の操作技術が浮かび上がるように思い出されたのだ。
しかしそれがどうしてなのかわからない。
私は、あの機械人形の操縦をしたことも。
見たこともない。
シンケルハンを降りた時、あの時のような高揚した気持ちはなく、ただ漠然とした恐怖だけが胸に残っていた。
考えると、吐き気がする。
黙りこんでしまったアマナの顔を覗き込み、ジャスティンが口を開きかけ……。
 
「よし、ついたぞ」
 
クリステンの声に、言葉を飲み込んだ。
集積所の外壁が大きく破壊されていて、穴が空き、周囲にゴミが散乱、浮遊している。
 
「こりゃひでえな」
 
ジャスティンが苦笑いをして息をつく。
デブリ……宇宙に浮遊する産業廃棄物がステーションに衝突する事故は、実は割と多い。
大体が居住区から離れている外郭にぶつかるため重要視はされないが、今回は規模が規模だったので、4人が派遣されたというわけだ。
 
「とりあえず、分析班の人たちが周りの捜査をするから。俺達はそのバックアップ。みんなナノマシンの反応探知はつけといてくれ。俺はミィと。ジャスティンはアマナさんと組んで、分散しよう」
「了解」
「分かった。行こうか」
「は……はい」
 
ジャスティンに手を引かれクリステン達と別方向に、アマナは進路を向けた。

◆ 

「俺達は全員孤児だったんだ」
 
調査は分析班の大人達がする。
宇宙空間での浮遊感に身を任せてたゆたっていたアマナは、ジャスティンが個別回線で話しかけてきたのに、耳を傾けた。
 
「十年くらい前はさ。結構エンジェルの攻撃で、死傷者が出ててね。それで、俺達みたいな戦災孤児が多かった」
「そう……だったんですか」
「ああ、いや。暇つぶし程度に聞いてくれればいいよ」
 
ジャスティンは軽く手を振ってから、近くを浮遊していた粗大ゴミを指先でつついた。
 
「俺は、その中でも重度のナノマシン反発症でね」
「ナノマシン反発症……」
 
繰り返して口をつぐむ。
聞いたことがある。
エンジェルは、ナノマシンという目に見えない極小、細胞サイズの機械の塊だと。
エンジェルが襲来したコロニーには、そのナノマシンが、まるで空気のように散布される。
例えるならば、植物アレルギー。
体質的に合わない人は、呼吸困難や、ひどい時には幻覚、幻聴を経て発狂に至ることもあるらしい。
 
「あの日も死にかけてた」
 
ジャスティンは、どことなく他人のことのように、軽い調子で話を続けた。
 
「息ができなくて、目も霞んで、でも、誰も助けてくれなかった。病院のベッドに括りつけられてのたうち回る俺を、医者も看護婦も見てるだけだった」
「でも……今のあなたは、何ともないように見えます」
 
そっとアマナが口を挟むと、ジャスティンは頷いて続けた。
 
「ハンウチ特佐が来たんだ」
「え?」
 
怪訝そうに聞き返したアマナに、肩をすくめてジャスティンは応えた。
 
「あの時のことははっきり覚えてる。あの人は、今も、昔も外見が変わらないんだ」
「そんな……」
 
そんな馬鹿な、と言いかけて口をつぐむ。
センは、今は少なくともジャスティン達と同年代に見える。
歳の頃は十七、八にしか見えない。
そうすると、十年前と言うと七、八歳ほどのはずだ。
しかし、ジャスティンの声音は嘘をついているようには聞こえなかった。
 
「俺の脇に立って、あの人は『死にたいのか』、『生きたいのか』って俺に聞いたんだ。俺は生きたいって言ったよ。そして生かしてもらった」
 
ジャスティンは自分の手を握ったり開いたりして、それを見ていた。
 
「アマナさんがどういう経緯で、アギト能力をもらったのか分からないけど、多分いろいろ事情があるんだと思うんだ。でも、俺達はみんな似たような過程を持ってる。だから、信用してもらっていいと思う」
 
ジャスティンの言葉を聞いて、アマナは少し考えた後、ふっ、と笑った。
 
「ええ……ありがとう」
「初めて笑ったね。ミナモも、君くらい素直ならな。性格が全てを相殺してるよな、あいつ」
 
そこまでジャスティンが言った時だった。
ピピピ……という電子音が二人の耳に響いた。
一瞬何だか分からずに停止したアマナの目に、分析班の大人達がざわついて、蜘蛛の子を散らすように逃げ始めたのが見えた。
 
「何だ……?」
 
ジャスティンが顔をそちらに向けて、とたんに青ざめる。
 
「まずい」
「どうしたんですか……?」
「ジャスティン! アマナさん! すぐにそこから離れろ!」
 
通信に、クリステンの声が強制的に割り込んできた。
それを聞くか聞かないかのうちに、ジャスティンは硬直しているアマナの手を引いて、バックパックの空気を一気に噴出した。
二人の体がデブリ群からものすごい速度で離れていく。
 
「ジャスティンさん! どういうことですか!」
 
慌てて声を出したアマナを抱きかかえるように押さえつけて、ジャスティンは応える間もなく、体を反転させてデブリを蹴った。
今まで二人がいた場所を、熱線のようなオレンジ色の光が、一瞬だけ通過した。
直径一メートルほどの光の帯は、数キロほども遠くまで伸びてから消えた。
次の瞬間、光が収束して吸い込まれた部分にあった空間が真っ赤に染まった。
 
「チッ!」
 
ジャスティンがアマナの頭を抱えて身を丸める。
 
「二人共! 俺の後ろに来い! 早く!」
 
クリステンがミィを抱きかかえた状態で、宇宙空間を吹き飛んできた。
そして彼はジャスティンの頭を掴んで勢いを殺し、右手を伸ばした。
 
「イージスの盾を使う! 分析班の人も! 全員可能な限り俺の後ろに」
 
そこまでクリステンが怒鳴った時だった。
音はしなかった。
しかし、膨大な熱量と共に、周囲を真っ赤な光が包んだ。
次の瞬間、四人は、クリステンの発生させたナノマシン力場「イージスの盾」の制御空間の中で、周囲が真っ赤な光、膨大な熱量に飲み込まれて吹き飛ばされるのを目にしていた。
 
「きゃああああ!」
 
頭を抑えて悲鳴を上げるアマナを強く引き寄せ、ジャスティンは怒鳴った。
 
「バーウルフ! 磁気嵐だ! 長距離通信とレーダーが使えない!」
「分かってる! ハンウチ特佐に何回もコールサインを送ってるよ!」
「ジーザス!」
 
光が収まった。
クリステンの体から白い煙が上がっている。
飛び出しそうな鼓動の中、周りに目を向けたアマナの心臓が、一瞬止まりそうになった。
周囲に、真っ黒に焼け焦げた人間大のモノが、多数浮かんでいた。
原型をとどめていず、炭のようになっている。
ボロボロと宇宙空間に崩れていくそれら。
それは、人間。
そう、先程まで生きていた分析班の大人達だった。
クリステンが爆心地に向けて手を伸ばした直線上にいた分析班は無事だった。
ざわめきと悲鳴を聞きながら、クリステンは怒鳴った。
 
「できるだけ早く、この宙域から離脱してください! 二撃目は守りきれません!」
「ナノマシン反応、急激に増大……」
 
ミィがクリステンに抱きかかえられたまま、ボソッと呟くように言う。
 
「エンジェルね。ゴミ集積所にぶつかったデブリって、アレか……」
 
彼女の声に誘導されるように、アマナはゴミ集積所に空いた巨大な穴に目をやった。
そこには、高射砲台のような金色の物体が鎮座していた。
今発した熱線で姿があらわになったのか、先程までは見て取れなかった場所にある。
砲台の背後には、四枚の翼が広がっていた。
それはゆっくりと、砲身をステーション軍部へと動かしていた。
 
「くそ、砲撃するつもりだ……」
 
ジャスティンが歯噛みして吐き捨てる。
 
「磁気嵐で特佐と連絡が取れない。司令部とも通信がつながらない……」
 
ミィがボソボソと言う。
クリステンはしばらく考えてから、彼女を離して、砲身を動かしているエンジェルに向き直った。
 
「時間を稼ぐぞ。ミィは俺の援護。俺の『盾』なら、直線上の攻撃を止められる。軍部への直撃は避けられるはずだ」
「今の爆発が軍部に感知されるまで、距離的にあと60秒はかかるね」
 
ミィが小さな声で言ってから、頷く。
 
「行くよ、バーウルフ」
「ジャスティンはアマナさんを連れて、できるだけ遠くに避難するんだ! 通信圏内に後退しろ!」
「分かった!」
 
クリステンとミィが、エンジェルに向けて圧縮空気を噴出し、吹き飛んでいく。
ジャスティンはパニックを起こしたように停止しているアマナを抱きかかえて、反対方向に飛び始めた。
 
「ジャスティンさん! 二人が!」
「あいつらなら大丈夫だ! さっきの爆発で磁気嵐が酷くて、司令部と連絡がつかない。磁気嵐の外まで逃げるよ!」
(私……何もできない……?)
 
エンジェルがデブリに隠れていた。
その驚愕の事実よりも先に、黒焦げになった人間達を見て、萎縮してしまった。
そして今も、ただ慌てるしか出来ない。
私は、無力だ。
歯を噛んで、恐怖に震える手を握りしめる。
少し進むと、ブツッ、と音がして大音量のアンジェロの声が響いた。
 
『応答しろ! 何があった!』
「司令! エンジェルだ! 磁気嵐で通信が出来ない。大至急シンケルハンを射出してくれ!」
『何だと……!』
 
磁気嵐を抜けたジャスティンの通信を聞いて、アンジェロは息を呑んだが、すぐに気を取り直して応えた。
 
『万が一に備えて、その宙域にシンケルハンは全て、30秒前に射出した。だが到着まであと少しかかる!』
「少しってどのくらいだよ!」
 
悲鳴のような声をあげたジャスティンの目に、砲口を軍部に向けたエンジェルの体が、真っ赤に発光し始めたのがうつった。
ミィとクリステンは、その射線上に位置どっている。
 
『少しは少しだ。他の小隊員はどうした!』
「アマナさんは隣にいる! バーウルフとアダミナスが、エンジェルの攻撃を止めに行ってる! だけど多分止め切れないよ!」
『落ち着け。落ち着いて対処すれば切り抜けられないことはない。そう教えているはずだ』
「んなこと言ったって!」
 
ジャスティンは怒鳴ってから、アンジェロに言葉をぶつけた。
 
「……特佐はまだなのか!」
『連絡がつかない。ジルビーンも同様だ。お前達で食い止めるんだ』
「こんな時に何してんだよ!」
 
毒づいてから、ジャスティンは横目で、こちらに向けてすさまじい速度で吹き飛んでくる四機の機影を目にした。
オートパイロットで航行している、シンケルハンだった。
 
「……間に合え……!」
 
歯噛みして彼は、声を絞り出した。
アマナを抱きかかえる手に力が入る。
その手が僅かに震えているのを見て、アマナは唾を飲んで、強く握り返した。



[泪色ヘヴン] [8] に続く!! 

to be continued...!! 


【編集後記】

機動兵器シンケルハンの各ナンバーとパイロットはこちらです!

・シンケルハン1号機(赤):クリステン・バーウルフ将補
・シンケルハン2号機(黄):ミィ・アダミナス一佐
・シンケルハン3号機(青):ジャスティン・ハバーナ一佐
・シンケルハン4号機(緑):ミナモ・ジルビーン一佐
・シンケルハン5号機(紫):アマナ・クルツ・フォード准将



衝突したデブリは、偽装されたエンジェルでした。
軍ステーションを射程圏内に捉えたエンジェルの攻撃。
クリステン達は、守り切れるのでしょうか……!

一方、ステーション内部で何者かの力を感知したセン。
彼は、ミナモを守るために街にジャンプしますが……。




第三話の中編に続く!

ご意見、ご感想などお待ちしています!!

次回の更新は不定期ですが、早いうちに上げます!
お楽しみに!! ٩( 'ω' )و



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