5月22日にパッチ4.3「月下の華」の実装と同時にザ・フィースト「シーズン7」終了を迎えた「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」(以下、FFXIV)。ザ・フィースト「シーズン7」のランキングには過去にBANされたはずの黄金の竜騎士の姿があった。BANされたはずのプレイヤーがなぜFFXIVをプレイできているのか。今回の事情を知っているというパンケ氏にインタビューを行った。
FFXIVをプレイする光の戦士の一人であるパンケ氏
ザ・フィースト「シーズン7」の裏側では何が起こっていたのか
――まずはインタビューを行う前に賞賛の言葉を送らせてください。Gaiaデータセンターで1位獲得おめでとうございます。
パンケ氏:ありがとうございます。今シーズンGaiaで1位になれるとは思っていなかったので、ランキングで僕のキャラクターが1位になっているのを確認したときは嬉しかったです。
Gaiaデータセンターで1位を獲得したパンケ氏のキャラクター『Alt Char』
――今シーズンは最初からGaiaで1位を狙っていたのでしょうか?
パンケ氏:Gaiaで1位を獲得することができたら良いなあとは前々から思ってはいましたが、最初から熱心にプレイしていたわけではありませんでした。僕自身今の実力では1位を獲得することが厳しいというのは分かっていましたし、今シーズンは階級がダイヤモンドになってからはまったく勝てず、Gaiaのキャラクターでザ・フィーストはしばらくプレイしていませんでした。
――Gaiaでプレイを再開した理由は何だったのでしょうか?
パンケ氏:ザ・フィースト「シーズン7」が終了する2週間少し前にTwitterで行ったアンケートがきっかけです。そのアンケートでは今シーズンどのデータセンターで1位を狙うべきなのかみんなに問いかけたものでした。僕としてはElementalかManaで1位を狙うつもりだったので、どちらかのデータセンターに絞る目的でアンケートを行いました。とはいえ、普通にアンケートを行うのもつまらないので、ネタ枠として『3DCで1位狙えよ』という項目を追加しました。
panke@panke219シーズン7のフィースト、私はどうしたらいいですか?
2018/05/04 20:47:09
――その結果、Gaiaでもザ・フィーストをプレイすることになったんですね。
パンケ氏:はい、といってもその時点では1位を狙う気はなく、適当にプレイしようと考えていました。ただ、実際にプレイしてみると、今まで勝てなかったのはなんだったのかという感じで勝ち続け、数日後には1位を目指すことも可能なレートとなりました。レートが増えるにつれて辛いマッチングが増えること、試合に勝利してもレートが少ししかもらえず敗北したときはごっそり減ること、様々な困難がありましたが、なんとかGaiaでも1位を獲得することができて良かったです。
――Gaiaでもということはやはり……?
パンケ氏:すでに察しているとは思いますが、Manaのランキング1位のキャラクター『Able Valu』は、僕が今シーズンManaで使用していたキャラクター『Flying Fish』を幻想薬とモグステーションのキャラクター名変更サービスで外見と名前を変更したものです。
ランキングの更新が停止されているときはまだキャラクターが『Flying Fish』であることが確認できる
――やはりそうでしたか。『Flying Fish』の名前の由来は黄金の竜騎士からなのでしょうか?
パンケ氏:えぇと……どういうことでしょうか?
――ほら、竜騎士ってピョンピョン飛び跳ねてるじゃないですか。
パンケ氏:それは誤解です(笑)。竜騎士がピョンピョン飛び跳ねているから飛び魚という名前を付けたというわけではなく、単に何か魚の名前を付けようと思ったときに飛び魚が頭に浮かんだだけです。ちなみにManaでザ・フィーストをプレイしている『Small Fish』は僕と関係ありません。僕も誰なのか知らないです。
――パンケさんはManaのキャラクターをすでにお持ちですが、なぜ別のキャラクターを使用していたのでしょうか?
パンケ氏:キャラクターを新しく作成したのは、僕がプレイしているキャラクターだと分かるとマッチングを避けられる可能性があったためです。ザ・フィースト「シーズン7」が開幕してから約2週間が経過した時点でダイヤモンドの階級に到達しているプレイヤーは既に何十名か居り、その人達のレートに追いつくためには多くの試合数をこなす必要がありました。レートをより多く稼ぐ可能性を上げるために、僕がManaに新しくキャラクターを作成し、ザ・フィーストをプレイしていることは隠していました。最初から『Able Valu』のキャラクターでザ・フィーストをプレイすることも考えましたが、僕がプレイしていると予想される可能性が高かったためやめました。しかし、一部のプレイヤーの方はすぐに僕だということに気づいていましたね。
元々Manaに居たキャラクター『Sub Char』 「シーズン3」に1位を獲得している
――鼓舞や波動法の使い方が他の学者と違うというコメントを見かけました。
パンケ氏:僕自身は学者をプレイしていて他のプレイヤーとそんなに違うのだろうかといった感じですが、分かる人には分かるみたいです。ザ・フィーストの配信は行っている方の視聴者のコメントで、あのキャラクターはパンケなんじゃないだろうか?いや、パンケはあんな見た目じゃないというやり取りを見てニヤニヤしていました(笑)。コメントの中にはレートの上げ方がパンケっぽいっていうものもあって、なんじゃそりゃ!?って感じでしたが、どうやらレートの上げ方で僕だと疑っていた方も居たみたいです。その後『Flying Fish』が僕のキャラクターだと明かしてからは、Gaia同様、Manaでもザ・フィーストをあまりプレイしていませんでした。
――何か理由があったのでしょうか?
パンケ氏:Manaでもダイヤモンドの階級に昇格してからほとんど勝てない状態に陥ってしまいました。勝率が5割程度でレートがまったく増えず、1位どころか10位以内を目指すレベルにも達していないことが自分でも分かりました。モチベーションが下がったこと、加えて、4月から働き始め、仕事で疲れてる状態でザ・フィーストをプレイする気力がわきませんでした。
――ザ・フィーストを再開するきっかけは何だったのでしょうか?
パンケ氏:4月26日にARTVで行われたPvPチーム対抗戦がきっかけです。僕が所属しているPvPチーム『Bronze Wolf』もPvPチーム対抗戦に参加しました。
4月26日にARTVで行われたPvPチーム対抗戦
――ARTVで『Bronze Wolf』の紹介文を岸さんが読み上げていましたが、あれだけ長い文章をよく短時間で考えましたね。
パンケ氏:多くの方が誤解しているのですが、元々あの紹介文は僕が現在のPvPチームに加入したときに作成したものです。ARTVの配信が行われている最中に作成したものではありません。決して今の自分には満足せず、いつまでも上を目指し続けるという思いを込め、『Bronze Wolf』というチーム名をみんなで決めました。
岸さんが『Bronze Wolf』の紹介文を読み上げるシーン(1:10:12~)
――PvPチーム対抗戦で行われた試合は、普段ARTVで見かける試合よりもハイレベルだったのを覚えています。
パンケ氏:実は『Bronze Wolf』が戦った2つ目のPvPチーム『Arc'iris』とは、PvPチーム対抗戦が行われた5日前にも交流戦を行っていました。そのとき10戦程試合を行ったのですが、『Bronze Wolf』は2勝しかできませんでした。なので、PvPチーム対抗戦で対戦相手が『Arc'iris』のチームだと知ったときは、あのときのリベンジマッチができると燃えていました。ですが、2試合とも『Bronze Wolf』が『Arc'iris』に負ける形となってしまい、リベンジを果たすことはできませんでした。特に2戦目は、後もう少しの間僕が生き延びていれば勝つことができた試合でもあり、試合終了間際に逆転された分余計に悔しかったです。
「BronzeWolf」VS「Arc'iris」の2戦目 試合終了間際にバーストを受けて落ちてしまうパンケ氏
――あの試合は本当に惜しかったですね。
パンケ氏:PvPチーム対抗戦を終えてからザ・フィールトをプレイするモチベーションが一気に復活しました。仕事にも慣れてきて、集中してプレイできる時間を確保できたのも大きかったです。しかし、今の状態では1位を獲得できる実力に達していないことが分かっていたので、再開した初めのうちはヒールワークや立ち回りを見直すことを優先しました。
――パンケさんならそのままの状態でもレートを稼ぐことができたのではないでしょうか?
パンケ氏:たしかに、あのときのレベルのままでもある程度までレートを稼ぐことができたと思います。ただ、1位を獲得できる実力ではなかったことが今ならはっきりと分かります。PvPチーム対抗戦で『Arc'iris』のチームに負けたことは非常に悔しいことでしたが、自分のプレイを見直すきっかけにもなったので、あのとき負けたのはある意味良かったのかもしれません。
パンケ氏が語るエイブル氏への思いとは
――今回、ランキングにエイブル氏が使用していたキャラクター『Able Valu』と全く同じ外見、名前のキャラクターをランクインさせた理由をもしよろしければ教えてください。
パンケ氏:エイブル君は僕とよく一緒に遊んでいたプレイヤーなのですが、今から数ヵ月程前、ハラスメント行為で通報され、彼のアカウントはサービス永久利用停止となりました。一緒に遊んでいた彼がFFXIVを二度とプレイできない状態だと知ったときはショックを受けました。ネットゲームの最後の思い出が垢BANというのは、ネタとしては面白いものではありますが、それでもやはり当事者や周りの人達は悲しいものです。そんな悲しい思い出でネットゲームの最後を飾るのではなく、FFXIVが最高に楽しいゲームだったという思い出であるためにはどうすればいいかを考えました。
1月22日にアカウントがサービス永久利用停止となったエイブル氏
――なるほど。ザ・フィーストを思い出の舞台として選んだのには理由があるのでしょうか?
パンケ氏:僕と彼の初めての出会いはザ・フィーストの試合で対戦したことでした。僕から彼に新しい思い出を送るのであれば、彼との出会いの始まりでもあったザ・フィーストであるべきだと思いました。また、みんなが彼のことをいつまでも忘れないようにするためには強烈な印象を植え付ける必要がありました。そこで、エイブル君が使用していたキャラクター『Able Valu』と同じ外見、名前のキャラクターで1位を獲得することを考えました。FFXIVでは定期的に開催されているシーズンで好成績を収めたプレイヤーは、公式のランキングページに記録が残ります。BANされたはずのエイブル君が突然1位の座に輝いてるのを見れば、みんなには強烈な印象が植え付けられることでしょう。僕の思いを彼と他のみんなに届けるの場として、これ以上相応しいものは無いと思いました。
――そのような理由から今シーズンは1位を獲得することを目標にプレイしていたのですね。
パンケ氏:シーズン終盤はレートをほとんど上げることができなかったので、1位を獲得することができるかどうか不安でしたが、無事『Able Valu』のキャラクターで1位を獲得することができて本当に良かったです。
the Feast Championの称号を掲げる『Able Valu』
――同じことを他のプレイヤーがやろうと思っても、1位を獲得するのは大変難しいことだと思います。1位を獲得するコツみたいなものはあるのでしょうか?
パンケ氏:「シーズン3」にManaで1位を獲得してから2年以上経過しましたが、今回再び1位を獲得することができました。実力が以前よりも増していることも今シーズン1位を獲得することができた大きな要因の1つですが、今シーズンは1位を獲得するという目標をはっきりと掲げていたことが僕のモチベーションに大きく関わっていたと思っています。
――1位を獲得するという目標ですか?
パンケ氏:「シーズン3」以降の僕はもう一度1位を獲得することができるかどうか自信がありませんでした。もう一度1位を獲得したいけれど、1位になれなかったらどうしよう、周りから笑われるんじゃないか、そんな周囲の反応ばかりを気にし、毎シーズン100位以内とか、10位以内を狙うという目標とも言えないようなものを宣言し、保険ばかりを掛けていました。しかし、今シーズンは違いました。今シーズンは僕の思いを彼と他のみんなに届けるという明確な目的があり、そのためには必ず『Able Valu』のキャラクターが1位である必要がありました。些細なことなのかもしれませんが、僕にとってはただ1位を狙うのではなく、何か目的のために1位を狙うというのは大きな違いでした。
panke@panke219シーズンが終了して、順位が発表されると、1位の人に「おめでとう!」って言葉を掛けたくない自分が居る。1位になるには相当な試合数をこなさいといけないって言い訳してる自分が居る。過去に1位になったから満足したって言い聞かせてる自分が居… https://t.co/EPRP2jmNgg
2017/11/28 10:36:54
panke@panke219フィーストで毎シーズン100位以内とか、10位以内を狙うって目標を決めてるけど、本当はもう一度1位になれるかどうか自信がなくて、保険を掛けてる自分が居る。
2017/11/28 10:36:21
――色々とお話をお聞かせ頂きありがとうございました。最後に何かメッセージがあればお願いします。
パンケ氏:エイブル君、今までありがとう。今回のサプライズでエイブル君が喜んでくれたら僕も嬉しいです。これまでのエイブル君の軌跡を動画でまとめてみました。動画のリンクを張っておくから、よければ見てね!
――ありがとうございました。
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