「時神のピーアン」
パーティメンバーひとり、
またはペット１体を対象として、次に受ける一部の弱体を１つ防ぐバリアを張る。
効果時間：３０秒
１．時神様のご加護がありますように。
その詩人と出会ったのは、ＣＦでＩＤに訪れたときだった。
お世辞にも、うまいとは言えない。けれど、ヘタという訳でも無い。
ＤＰＳこそイマイチなものの、その詩人は、とにかく一生懸命に歌っていた。
殲滅はローペースで、比較的ゆったりとした雰囲気で敵を倒していく。
タンクである俺も、ＰＴメンバーを鑑みて、敵をまとめず、散らして進むことを選択する。
時間こそかかったものの、危なげなくＩＤを突破した。
「おつでーす」
「ありがとう」
ヒラと、近接ＤＰＳがそう言って抜けていく。
「あなたに、時神様のご加護がありますように」
吟遊詩人は、そう言って俺に時神のピーアンを歌って、去って行った。
悪く無い。
幸運のおまじないだろうか。
ＭＩＰはヒラに入れたが、今日のＩＤ周回は、幸先が良いように感じた。
そして、次のＩＤへ、連続して申請を出す。
簡単な挨拶をすまし、
最初の敵と出くわす頃には、あの詩人が歌った時神のピーアンは消えていた。
効果時間３０秒。
俺は思った。
――無意味なことしやがって。
２．時神様が見守ってくださいます。
なんということはない。
ふと目が合って、他愛無い会話をしたように思う。
その場限りの楽しい会話。
お互いにそうだと分かっているから、気軽に話せた。
「おっと、そろそろ寝ないと。またどこかで会いましたら」
詩人は俺にそう微笑んで会釈した。
おう、またな。なんて、軽く見送る。
「あなたに幸あらんことを」
詩人がデジョンする直前、そう言って俺に時神のピーアンを歌った。
さっきまで詩人が居た場所を見つめ、一瞬だけ目を細めた。
さて、俺もクエストの続きを進めるとするか。
次の目的地まで、チョコボに乗って駆けていく。
走り出してすぐ、目の前にＦＡＴＥが発生した。
同時にポップした複数の敵。
絡まれると面倒だが、それを避けるのも面倒で。
自身に、時神のピーアンが付与されていることを思い出し、
まあ、大丈夫だろう、突っ切ろう、と
そう考えて、ＦＡＴＥの渦中を邁進する。
モブがすぐにコチラに反応し、攻撃を連ねる。
＋ヘヴィ＋デバフが入ったが、気にすることはない。
足取り重く、それでも先を目指して突き進む。
ＦＡＴＥを抜けた先で、冒険者がペイストと戦っていた。
運悪く、ペイストの視線範囲攻撃に引っかかる。
付与されたデバフは＋石化＋
あれ？ おっかしーなぁ
自身のバフを確認すると、時神のピーアンはまだ残っていた。
石化は、防げないのか。
――本当に、無意味なことしやがって。
足止めされた怒りの矛先は、さっきまで話していた、吟遊詩人に向いた。
３．ＰｖＰと時神様
ＰｖＰが好きだ。
新パッチが来ているというのに、今日もウルヴズに来てしまった。
使うジョブは、吟遊詩人。
黒魔導士には劣るが、相手のキャストをきっちり封殺し、着かず離れず、
周りの状況を把握しながら戦えば、良い戦いも出来た。
３．０からは、開幕前に、時神のピーアンをＰＴメンバーに付与する仕事が加わった。
はじまってしまえば、そんなことをする余裕はほぼない。
大した要素ではないが、こうした小さな積み重ねが大事なんだ。
何戦、何十戦、何百戦、その度に僕は歌う、時神のピーアンを。
――嗚呼、ストンラピーアン、追加されないかなあ。
毎度、ＰＴメンバー全員に、時神のピーアンを歌うのは、すごく面倒なコトだった。
４．時神様＾ｑ＾
えぇ！？
３．０で追加される新歌は、「時神のピーアン」て言うの！？
「時」とつくから、ついに、ヘイスト効果か！？
いやはや、でも、それだけじゃあ、分からない！
蓋を開けてみれば、謎の歌！！
ねぇ、ねぇ、満を持して追加された新歌、
今まででいっちばん使えないんだけど、どんな気持ちぃ？
どんな気持ちぃ？
吉Ｐをインペルダウンに幽閉しようそうしよう。
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